Clayton College of Naural Health
2010年 04月 01日
クレイトン大学アメリカン・ホリスティック・カレッジ・オブ・ニュートリション (Clayton College of Natural Health, American Holistic College of Nutrition)
略歴に同大学が出てくる著者
糸日谷秀幸
川喜田昭雄
鈴木清和
スタルヒン,ナターシャ
瀬野川知子
伊達友美
田畑直江
中嶋研二
マッキース,ジリアン
山田豊文
糸日谷秀幸
糸日谷秀幸 著「昔話の謎を解く―本当は意味深い昔話」(愛生社;星雲社〔発売〕、2000年12月5日 発行)より
理学博士・健康カウンセラー。
慶応大学大学院(教育心理学専攻)卒業。米国クレイトン大学大学院(栄養学専攻)卒業。青山教育心理研究所・精神カウンセラー、近畿大学豊岡短大・心理学講師等を経て、現在は製薬メーカー等の健康カウンセラーとして活躍。
1998年、論文「ストレスによって起こる病気とその栄養学的改善の研究」により、理学博士号(Ph.D)を取得。
伊達友美
食生活向上委員会 著、伊達友美 監修「美人のミナモト」(ライブドアパブリッシング、2005年10月3日 第1刷)より
1967年静岡県生まれ。クレイトン大学AHCN博士課程修了。管理栄養士。
恵比寿アンチエイジンググリニック・カウンセラー。
yumiという方からほぼ同じ文面の4通のメールをいただきました(2007年10月5~23日)
糸日谷秀幸氏からご意見をいただきました(2006年11月12日)
QuackwatchよりClayton College of Natural Health: Be Wary of the School and Its Graduates(Stephen Barrett, M.D.)
《khon抄訳》
Clayton College of Natural Health:本校とその卒業生に気を付けろ(Stephen Barrett, M.D.)
多くの非認定通信学校が「学位」や修了証を発行し、その授与者は栄養や健康管理について合理的な助言ができる資格のある専門家であるかのように示唆しようとする。これらの書類はあたかも確立された証明書と同等の価値があるかのように宣伝されるが、実際にはそんな価値はない。最も多く発行している例の一つがアラバマ州バーミンガム市にあるClayton College of Natural Healthであり、自宅学習コースを通じて「自然医学」、伝統自然療法、「ホリスティック・ニュートリション」や関連科目につき「学位」や「修了証」を提供している。CCNHは2万5千人を超える卒業生を有する世界でも指折りの自然医学の大学であると称している。本校とその卒業生を避けることを勧める理由を本稿で説明する。
背景となる歴史
CCNHの2003年版ウェブサイトによると:自然療法により自らの健康を回復したLloyd Clayton, Jr., N.D.が1970年代後半に環境に優しいハーブ会社を創立。すぐに彼の新会社にハーブやその使用法について顧客から問い合わせが殺到した。自然医学にこんなにも世界的な興味があることを見出して喜んだ彼とその家族は1980年に二つの通信制大学(Clayton School of Natural Healing とAmerican Holistic College of Nutrition)を作り上げた。1997年にはClayton College of Natural Healthとして一つになり、本校は今では伝統自然療法、自然医学、ホリスティック・ニュートリションにおいて大学学位プログラムを、卒業生に継続教育を、ハーブ研究、健康管理の職業的研究と虹彩診断において信任プログラムを、ハーブ療法、虹彩診断、栄養と生活習慣において集中プログラムを提供している。
(略)
無意味な「認定」
(略)薬を用いない施術師全米協会(American Association of Drugless Practitioners )と全米自然療法医学認定会(American Naturopathic Medical Accreditation Board)から認定を受けていると述べているが、これらの機関は米国教育長官に認識されておらず、つまりはこれらの機関からの「認定」は無意味である。
1998年、オレゴン州学位公認局は本校の自然療法卒業生はオレゴン州内での免許に不適格と結論した。その調査の過程で、学位公認局は一人の「卒業生」に14ヶ月の間に発行された4つの学位証書を入手した。彼女の「自然療法医師」学位は1988年1月25日付けであり、学士、修士、博士の学位は全て1989年3月28日付けであった。
非科学的な教え
(略)
結論
CCNHには一つだけ潜在的に価値ある側面がある。その証明書を持つ者に助言を求めてはならないことを確かに示してくれる。
参考文献
(略)
本稿は2005年9月7日に改訂された。
博士号取得証明書の例
《khon訳》
アメリカン・ホリスティック・カレッジ・オブ・ニュートリション
アラバマ州バーミンガム市
アメリカン・ホリスティック・カレッジ・オブ・ニュートリションは、必要な学習課程を見事に完了されたことを認め、
里 澄治に
ホリスティック栄養学博士号の学位を
そこに帰しうる全ての権利、特権とともにここに与える。
その証拠として、この学位証は本学役員たちによる署名と本学の印章を付して、この2005年8月31日に発行された。
(サイン)Lloyd E. Clayton, Jr. 学長 (サイン《khon推定判読》)Tara U. Bou 登録官
アラバマ州のディプロマ・ミルが大学の怒りをかっている(Tuscaloosa News、2007年2月17日)
《khon訳》
本紙記者:Adam Jones
バーミンガム市のChadwick University では、どれだけ人生を過ごしてきたかを基に学生は卒業学位を得ることができる。
しかし、連邦政府への就職を求めているなら、卒業生は履歴書からその学位は外しておくのが賢明だろう。463名の連邦政府職員がChadwick University を含む非認定大学からの学位を主張していたことが政府調査で明らかにされた。
アラバマ州教育の指導者たちは、Chadwick University のような私立大学設立を規制する法律の強化によって、ディプロマ・ミル天国の汚名を返上したいと希望している。
勉学なしに、または、ごくわずかな勉学だけで学位を提供するディプロマ・ミルに対し他の州がより強硬な姿勢をとるようになるにつれ、それらの学校はアラバマ州のような規制の緩い州に移動してきた。
「そいつは全ての州にとって問題なんだ。ただ、早く対処する州もあれば、遅い州もあるんだよ」アラバマ州高等教育委員会の執行責任者のGregory Fitch は言う。
アラバマ州の私立大学認可に二系統あるために、ディプロマ・ミルに営業認可を許してしまっていると監視団体は指摘する。
認可を得るには、高等教育委員会へ送られる場合と、二次以降教育局へ送られる場合とがある。今年以前は、高等教育委員会はいくつかの大学を審査から免除していたし、二次以降教育局は提供されている教育の質を審査していなかった。
Fitch と二次以降教育局の暫定局長Thomas Corts は認可を高等教育委員会に一本化することに合意し、州法を変えるべくこの州議会会期に法案を提出することを計画している。
「私立大学認可プロセスを高等教育委員会に一本化することは、プロセスを簡素化し強化することになる」と二次以降教育局のAndre Taylor は言う。
アラバマ州には現在、一般的に教育の質の保証と考えられている認定なしに学位を授与している州認可を受けた機関が10ある。Chadwick University は州認可の更新を求めている。
認定のない学校が必ずしもディプロマ・ミルというわけではないが、ほぼ全てのディプロマ・ミルには認定がない。
「もし、アラバマ州が真に一元化された監視を持つことができれば、より効率的にこうした機関の設立を防ぐことができるだろう」学位授与機関に厳格な基準を持つオレゴン州の監督官Alan Contreras は言う。
ニセ学位を持つ学生は、潜在的な雇用者にとっても正統な学位授与機関にとっても問題となる。
Contreras は州として非認定大学データベースを保守している。
ディプロマ・ミルが国中を移動していること、多くは最近認可法を改正したアイダホ州、ワイオミング州から、アラバマ州、ミシシッピー州、ハワイ州、カリフォルニア州へ移動していることに彼は気付いている。
規制の緩い州も減りつつある。ハワイ州議会は法改正を議論しており、ミシシッピー州は一年前に小さいながら改正を立法化している。
「逃げ場を探している連中なんだ。だけど、それも急速に尽きつつある」Contreras は言う。「こうした連中に歓迎しないぞというメッセージを送りたければ、規制を改正するプロセスを始める必要がある」
免除
アラバマ州議会は、州内にない私立機関の認可は高等教育委員会に、州内にある機関の認可は二次以降教育局に委ねてきた。この二系統システムは通信教育が郵便を通じて行われていた時代の遺物である。インターネットが通信教育の伝達システムとして郵便受けに取って代わって久しい。ニセ学校を設立し国中を移動することはより容易になっている。
「1970年代からいろんなことが変わったけれど、法律は何も変わってこなかった」高等教育委員会の効率と企画責任者のElizabeth French は言う。
12月、高等教育委員会は州外の機関を全面審査から免除していた抜け道をふさぐために規則を変えることに同意した。改正はこの春から施行される。
改正前は、州内で学位を提供したい、もしくは、州内に事務所を設立したい、他州の大学は認可プロセスを全く免除されていた。
「そうした要求が急増したので、免除を取り止めることにした」とFrench は言う。
既に免除により認可されている7つの機関は現在は合法であり、更新時期が来れば審査されると彼女は強調する。
しかし、7つの内5つは非認定学位授与機関であり、高等教育委員会によって大学と認可されている。高等教育委員会の前に来たその他の機関は、認可されるか、基準を満たさないとして拒否されるか、もしくは、American School of Real Estate Express のように証明書を提供するプログラムが短期なので免除されることになる。
全面審査から免除された学校であるAmerican Liberty University はモントゴメリー市に「キャンパス」を設立したが、カリフォルニア州からの移動である。そのウェブ・サイトで、ALU は州の認可を受けていると載せているが、ALU は連邦教育省から認定大学と認識されていないこと、つまり、認定大学へ単位を移すことはほとんど不可能なことをサイトの訪問者に伝えていない。
この学校はまた「教室外の人生経験や業務経験や、あるコースや部における自習」なる「経験学習」に対して単位を与えている。
人生経験に対して学術上の単位を与えていることは警告サインだと、ニセ大学を追っているイリノイ大学教授George Gollin は言う。
足かせ
ディプロマ・ミルはもはや高等教育委員会にプログラムの審査を免除してもらうことはできなくなったが、依然として二次以降教育局のシステムに頼る手が残っている。
州のガイドラインは二次以降教育局の役人にプログラムの審査と実地訪問を行う権限を許しているが、二次以降教育局には全てのケースで詳細な審査を行えるだけのスタッフがいないと、二次以降教育局総領事のJoan Davis は言う。
現行では、法が求めているのは、私立大学が財政的に有効であり、提供すると主張しているものを、たとえ実際に提供されているものが疑わしい教育価値しかないのだとしても、提供していることを証明することだけだとDavis は言う。
「私たちは法によって足かせをはめられているのです」と彼女は言う。「私たちには品質を保証できないし、この法案で抜け道をふさぎたいと望んでいるのです」
例えば、バーミンガム市のChadwick University はほとんどのコースで勉学が全くないか、あってもごくわずかで学位を授与しているディプロマ・ミルに分類されてきた。この学校からの学士号を主張して国家原子力安全管理局に雇われていた人物は、2004年の政府調査で非認定大学から学位を取得していたとされた463人の連邦職員の一人だ。
2005年、Chadwick University は州内での営業を二次以降教育局のシステムにより再認可された。その認可は今年一月に期限が切れるが、再認可を求めてきているとDavis は言う。
多くのディプロマ・ミル同様、Chadwick University も人生経験に対し単位を与えている。ウェブ・サイトでは、入学生がいっぱいになったので、これ以上の申し込みは受け付けていないとしている。
創設者のLloyd Clayton からコメントを得ることはできなかった。バーミンガム市サウスサイドの4階建てビルにあるChadwick University の住所として載っているオフィスの部屋は、Magnolia Corporate Services の所在地として表札が貼ってあった。Chadwick University のものとして載っている電話番号にかけてみると、Magnolia Corporate Services の留守番電話サービスにつながり、その電話帳の最初にClayton の名前が載っている。
Clayton はまたClayton College of Natural Health を創設している。American Association of Drugless Practitioners から認定を受けていると主張しているが、この機関は連邦政府から正統な認定者として認識されていない。
Chadwick University もClayton College of Natural Health も、オレゴン州のデータベースではディプロマ・ミルの可能性があるものとして載っている。
「Clayton College of Natural Health の問題は、認定を受けたとする認定機関が認識されたものではないため、知られている限り監視がなされていないことにある」とContreras は言う。「彼らが何をしているのか我々は知らない。だから、そこで学位を得た人たちはオレゴン州では認可されない」
高価な旅
しかし、アラバマ州の二つの非認定組織の指導者たちは、大学は認定がなくとも正統たりうると言う。
「それは旅であり、それは高価だが、私たちの目標はそうすることなのだ」アラバマ州のBreyer State University 学長Dominick Flarey は言う。
Breyer State University は2008年3月まで州内で営業する認可を得ており、二次以降教育局の認可プロセスには二日間の実地訪問が含まれていた。たとえ高等教育委員会が替わって認可プロセスを行うとしても、問題はないとFlareyは言う。
「改正の目標が規制強化で、他に隠れた目的がないのであれば、歓迎する」とオハイオ州に住むFlarey は言う。
Breyer State University もまた人生経験を単位に数えており、学生に自身の博士課程を設計することを許している。が、ディプロマ・ミルではない、とFlarey は主張する。
コースの摘要と教員とその資格はサイトに載せていると彼は言う。人生経験に与える単位は伝統的な大学がさまざまな経験に与えている基準に則っていると彼は言う。
「誰かがディプロマ・ミルと呼んだだけで、ディプロマ・ミルになるわけではない」と彼は言う。
Breyer State University は、他に二つの通信大学を認定しているCentral States Consortium of Colleges and Schools から認定を得ているとウェブ・サイトで主張している。この機関は連邦政府から認定機関として認識されていない。この事実はBreyer State University もウェブ・サイトで認めている。
しかし、Flarey はBreyer State University とCentral States Consortium of Colleges and Schools の両方のトップである。つまり、Flarey は自分の大学が認定を受けたと称する機関の執行役員なのだ。
これに対して、Breyer State University を評価するに際しては外部から三人の評価者を雇ったとFlarey は答えた。
「もちろん、私は評価はしなかったよ」と彼は言う。「それは馬鹿げたことだからね」
品質を保証するためには、認定機関が連邦教育省から認識されている必要はない、とFlarey は言う。この機関は、連邦から認識された認定機関からの認定を受けていない大学に基準を提供するために創設されたのだと。
「認識された認定機関だなどと主張していない」と彼は言う。「そのことについてはウェブ・サイトで明らかにしている。良い基準を作って、世界中の誰もが見られるようにして、この基準に則っていくと言っているだけなんだ」
非認定大学のもう一人の指導者であるJerry Haenisch は、認定は自主的なものだと言う。彼はワイオミング州からアラバマ州へ彼の大学Preston University を移動する過程にある。二次以降教育局のシステムはPreston University に2008年12月までの認可を与えた。
Preston University の理事長であるHaenisch は、ワイオミング州議会が法改正を検討しているときにワイオミング州の役人に非認定大学を追い出さないようにロビー活動を行ったが、実を結ばなかった。
Preston University の3,000人近い学生のほとんどが海外の学生なので、認定大学に与えられる連邦政府の援助金は必要ないのだとHaenisch は言う。
「米国の認定制度は学校が国際的に営業することを制約している」と彼は言う。「認定がなくとも、品質の高い学校として存在し、良い教育を提供することはできる」
アラバマ州は非認定大学の営業を認めているので、モントゴメリー市に大学を移動中だと言う。州の役人が彼を追い出すような大変革を行わないよう希望していると。
「アラバマ州には、外部の私的認定を要求することなく、非常に厳格な学術ガイドラインを持つように求めている」とHaenisch は言う。
ウェブ・サイトによると経験学習に単位を与えているが、Preston University はディプロマ・ミルではないとHaenisch は主張している。
正統な機関
たとえ審査権限が高等教育委員会に移されたとしても、認定がない機関を州外へ追い出すようなことはしないとFitch は言う。
「良い仕事をしている正統な営業がそこにはある」と彼は言う。
審査は徹底したものになり、実地訪問や教員の資格証明などの安全策を含むことになろう、と彼は言う。
「もし郵便局の私書箱が住所なら、全ての要件を満たしたとはおそらく言えなくなるだろう」とFitch は言う。
州内300の認可された私立学校の内、高等教育委員会は70校をこれまでに審査した。多くは学位を授与しないプログラムである。
高等教育委員会の審査を受けていない機関の一つにフーヴァー市のAndrew Jackson University がある。
完全に通信教育校であり、連邦政府によって認識された認定機関であるDistance Education Training Council から認定を受けている。しかし、DETC からの認定校の学生はSouthern Association of Colleges and Schools といった地域の認定機関から認可された単位取得に苦労することがしばしばある。
「始めた当初は、認定がなくともやっていけると思っていたのだが、すぐにそんなのは無理だと分かったよ」と創設者であり学長でもあるRobert Norris は言う。
AJU には通信教育の柔軟性を必要とする約600人の学生がいると彼は言う。
彼の大学ような機関をアラバマ州が追い出すことがないよう希望し、より厳格なガイドラインを歓迎するとNorris は言う。
「規制強化で、落ちるところは落とせば良い」と彼は言う。「厳しければ厳しいほど良い。競争が減るからね」
(出典:健康本の世界)
略歴に同大学が出てくる著者
糸日谷秀幸
川喜田昭雄
鈴木清和
スタルヒン,ナターシャ
瀬野川知子
伊達友美
田畑直江
中嶋研二
マッキース,ジリアン
山田豊文
糸日谷秀幸
糸日谷秀幸 著「昔話の謎を解く―本当は意味深い昔話」(愛生社;星雲社〔発売〕、2000年12月5日 発行)より
理学博士・健康カウンセラー。
慶応大学大学院(教育心理学専攻)卒業。米国クレイトン大学大学院(栄養学専攻)卒業。青山教育心理研究所・精神カウンセラー、近畿大学豊岡短大・心理学講師等を経て、現在は製薬メーカー等の健康カウンセラーとして活躍。
1998年、論文「ストレスによって起こる病気とその栄養学的改善の研究」により、理学博士号(Ph.D)を取得。
伊達友美
食生活向上委員会 著、伊達友美 監修「美人のミナモト」(ライブドアパブリッシング、2005年10月3日 第1刷)より
1967年静岡県生まれ。クレイトン大学AHCN博士課程修了。管理栄養士。
恵比寿アンチエイジンググリニック・カウンセラー。
yumiという方からほぼ同じ文面の4通のメールをいただきました(2007年10月5~23日)
糸日谷秀幸氏からご意見をいただきました(2006年11月12日)
QuackwatchよりClayton College of Natural Health: Be Wary of the School and Its Graduates(Stephen Barrett, M.D.)
《khon抄訳》
Clayton College of Natural Health:本校とその卒業生に気を付けろ(Stephen Barrett, M.D.)
多くの非認定通信学校が「学位」や修了証を発行し、その授与者は栄養や健康管理について合理的な助言ができる資格のある専門家であるかのように示唆しようとする。これらの書類はあたかも確立された証明書と同等の価値があるかのように宣伝されるが、実際にはそんな価値はない。最も多く発行している例の一つがアラバマ州バーミンガム市にあるClayton College of Natural Healthであり、自宅学習コースを通じて「自然医学」、伝統自然療法、「ホリスティック・ニュートリション」や関連科目につき「学位」や「修了証」を提供している。CCNHは2万5千人を超える卒業生を有する世界でも指折りの自然医学の大学であると称している。本校とその卒業生を避けることを勧める理由を本稿で説明する。
背景となる歴史
CCNHの2003年版ウェブサイトによると:自然療法により自らの健康を回復したLloyd Clayton, Jr., N.D.が1970年代後半に環境に優しいハーブ会社を創立。すぐに彼の新会社にハーブやその使用法について顧客から問い合わせが殺到した。自然医学にこんなにも世界的な興味があることを見出して喜んだ彼とその家族は1980年に二つの通信制大学(Clayton School of Natural Healing とAmerican Holistic College of Nutrition)を作り上げた。1997年にはClayton College of Natural Healthとして一つになり、本校は今では伝統自然療法、自然医学、ホリスティック・ニュートリションにおいて大学学位プログラムを、卒業生に継続教育を、ハーブ研究、健康管理の職業的研究と虹彩診断において信任プログラムを、ハーブ療法、虹彩診断、栄養と生活習慣において集中プログラムを提供している。
(略)
無意味な「認定」
(略)薬を用いない施術師全米協会(American Association of Drugless Practitioners )と全米自然療法医学認定会(American Naturopathic Medical Accreditation Board)から認定を受けていると述べているが、これらの機関は米国教育長官に認識されておらず、つまりはこれらの機関からの「認定」は無意味である。
1998年、オレゴン州学位公認局は本校の自然療法卒業生はオレゴン州内での免許に不適格と結論した。その調査の過程で、学位公認局は一人の「卒業生」に14ヶ月の間に発行された4つの学位証書を入手した。彼女の「自然療法医師」学位は1988年1月25日付けであり、学士、修士、博士の学位は全て1989年3月28日付けであった。
非科学的な教え
(略)
結論
CCNHには一つだけ潜在的に価値ある側面がある。その証明書を持つ者に助言を求めてはならないことを確かに示してくれる。
参考文献
(略)
本稿は2005年9月7日に改訂された。
博士号取得証明書の例
《khon訳》
アメリカン・ホリスティック・カレッジ・オブ・ニュートリション
アラバマ州バーミンガム市
アメリカン・ホリスティック・カレッジ・オブ・ニュートリションは、必要な学習課程を見事に完了されたことを認め、
里 澄治に
ホリスティック栄養学博士号の学位を
そこに帰しうる全ての権利、特権とともにここに与える。
その証拠として、この学位証は本学役員たちによる署名と本学の印章を付して、この2005年8月31日に発行された。
(サイン)Lloyd E. Clayton, Jr. 学長 (サイン《khon推定判読》)Tara U. Bou 登録官
アラバマ州のディプロマ・ミルが大学の怒りをかっている(Tuscaloosa News、2007年2月17日)
《khon訳》
本紙記者:Adam Jones
バーミンガム市のChadwick University では、どれだけ人生を過ごしてきたかを基に学生は卒業学位を得ることができる。
しかし、連邦政府への就職を求めているなら、卒業生は履歴書からその学位は外しておくのが賢明だろう。463名の連邦政府職員がChadwick University を含む非認定大学からの学位を主張していたことが政府調査で明らかにされた。
アラバマ州教育の指導者たちは、Chadwick University のような私立大学設立を規制する法律の強化によって、ディプロマ・ミル天国の汚名を返上したいと希望している。
勉学なしに、または、ごくわずかな勉学だけで学位を提供するディプロマ・ミルに対し他の州がより強硬な姿勢をとるようになるにつれ、それらの学校はアラバマ州のような規制の緩い州に移動してきた。
「そいつは全ての州にとって問題なんだ。ただ、早く対処する州もあれば、遅い州もあるんだよ」アラバマ州高等教育委員会の執行責任者のGregory Fitch は言う。
アラバマ州の私立大学認可に二系統あるために、ディプロマ・ミルに営業認可を許してしまっていると監視団体は指摘する。
認可を得るには、高等教育委員会へ送られる場合と、二次以降教育局へ送られる場合とがある。今年以前は、高等教育委員会はいくつかの大学を審査から免除していたし、二次以降教育局は提供されている教育の質を審査していなかった。
Fitch と二次以降教育局の暫定局長Thomas Corts は認可を高等教育委員会に一本化することに合意し、州法を変えるべくこの州議会会期に法案を提出することを計画している。
「私立大学認可プロセスを高等教育委員会に一本化することは、プロセスを簡素化し強化することになる」と二次以降教育局のAndre Taylor は言う。
アラバマ州には現在、一般的に教育の質の保証と考えられている認定なしに学位を授与している州認可を受けた機関が10ある。Chadwick University は州認可の更新を求めている。
認定のない学校が必ずしもディプロマ・ミルというわけではないが、ほぼ全てのディプロマ・ミルには認定がない。
「もし、アラバマ州が真に一元化された監視を持つことができれば、より効率的にこうした機関の設立を防ぐことができるだろう」学位授与機関に厳格な基準を持つオレゴン州の監督官Alan Contreras は言う。
ニセ学位を持つ学生は、潜在的な雇用者にとっても正統な学位授与機関にとっても問題となる。
Contreras は州として非認定大学データベースを保守している。
ディプロマ・ミルが国中を移動していること、多くは最近認可法を改正したアイダホ州、ワイオミング州から、アラバマ州、ミシシッピー州、ハワイ州、カリフォルニア州へ移動していることに彼は気付いている。
規制の緩い州も減りつつある。ハワイ州議会は法改正を議論しており、ミシシッピー州は一年前に小さいながら改正を立法化している。
「逃げ場を探している連中なんだ。だけど、それも急速に尽きつつある」Contreras は言う。「こうした連中に歓迎しないぞというメッセージを送りたければ、規制を改正するプロセスを始める必要がある」
免除
アラバマ州議会は、州内にない私立機関の認可は高等教育委員会に、州内にある機関の認可は二次以降教育局に委ねてきた。この二系統システムは通信教育が郵便を通じて行われていた時代の遺物である。インターネットが通信教育の伝達システムとして郵便受けに取って代わって久しい。ニセ学校を設立し国中を移動することはより容易になっている。
「1970年代からいろんなことが変わったけれど、法律は何も変わってこなかった」高等教育委員会の効率と企画責任者のElizabeth French は言う。
12月、高等教育委員会は州外の機関を全面審査から免除していた抜け道をふさぐために規則を変えることに同意した。改正はこの春から施行される。
改正前は、州内で学位を提供したい、もしくは、州内に事務所を設立したい、他州の大学は認可プロセスを全く免除されていた。
「そうした要求が急増したので、免除を取り止めることにした」とFrench は言う。
既に免除により認可されている7つの機関は現在は合法であり、更新時期が来れば審査されると彼女は強調する。
しかし、7つの内5つは非認定学位授与機関であり、高等教育委員会によって大学と認可されている。高等教育委員会の前に来たその他の機関は、認可されるか、基準を満たさないとして拒否されるか、もしくは、American School of Real Estate Express のように証明書を提供するプログラムが短期なので免除されることになる。
全面審査から免除された学校であるAmerican Liberty University はモントゴメリー市に「キャンパス」を設立したが、カリフォルニア州からの移動である。そのウェブ・サイトで、ALU は州の認可を受けていると載せているが、ALU は連邦教育省から認定大学と認識されていないこと、つまり、認定大学へ単位を移すことはほとんど不可能なことをサイトの訪問者に伝えていない。
この学校はまた「教室外の人生経験や業務経験や、あるコースや部における自習」なる「経験学習」に対して単位を与えている。
人生経験に対して学術上の単位を与えていることは警告サインだと、ニセ大学を追っているイリノイ大学教授George Gollin は言う。
足かせ
ディプロマ・ミルはもはや高等教育委員会にプログラムの審査を免除してもらうことはできなくなったが、依然として二次以降教育局のシステムに頼る手が残っている。
州のガイドラインは二次以降教育局の役人にプログラムの審査と実地訪問を行う権限を許しているが、二次以降教育局には全てのケースで詳細な審査を行えるだけのスタッフがいないと、二次以降教育局総領事のJoan Davis は言う。
現行では、法が求めているのは、私立大学が財政的に有効であり、提供すると主張しているものを、たとえ実際に提供されているものが疑わしい教育価値しかないのだとしても、提供していることを証明することだけだとDavis は言う。
「私たちは法によって足かせをはめられているのです」と彼女は言う。「私たちには品質を保証できないし、この法案で抜け道をふさぎたいと望んでいるのです」
例えば、バーミンガム市のChadwick University はほとんどのコースで勉学が全くないか、あってもごくわずかで学位を授与しているディプロマ・ミルに分類されてきた。この学校からの学士号を主張して国家原子力安全管理局に雇われていた人物は、2004年の政府調査で非認定大学から学位を取得していたとされた463人の連邦職員の一人だ。
2005年、Chadwick University は州内での営業を二次以降教育局のシステムにより再認可された。その認可は今年一月に期限が切れるが、再認可を求めてきているとDavis は言う。
多くのディプロマ・ミル同様、Chadwick University も人生経験に対し単位を与えている。ウェブ・サイトでは、入学生がいっぱいになったので、これ以上の申し込みは受け付けていないとしている。
創設者のLloyd Clayton からコメントを得ることはできなかった。バーミンガム市サウスサイドの4階建てビルにあるChadwick University の住所として載っているオフィスの部屋は、Magnolia Corporate Services の所在地として表札が貼ってあった。Chadwick University のものとして載っている電話番号にかけてみると、Magnolia Corporate Services の留守番電話サービスにつながり、その電話帳の最初にClayton の名前が載っている。
Clayton はまたClayton College of Natural Health を創設している。American Association of Drugless Practitioners から認定を受けていると主張しているが、この機関は連邦政府から正統な認定者として認識されていない。
Chadwick University もClayton College of Natural Health も、オレゴン州のデータベースではディプロマ・ミルの可能性があるものとして載っている。
「Clayton College of Natural Health の問題は、認定を受けたとする認定機関が認識されたものではないため、知られている限り監視がなされていないことにある」とContreras は言う。「彼らが何をしているのか我々は知らない。だから、そこで学位を得た人たちはオレゴン州では認可されない」
高価な旅
しかし、アラバマ州の二つの非認定組織の指導者たちは、大学は認定がなくとも正統たりうると言う。
「それは旅であり、それは高価だが、私たちの目標はそうすることなのだ」アラバマ州のBreyer State University 学長Dominick Flarey は言う。
Breyer State University は2008年3月まで州内で営業する認可を得ており、二次以降教育局の認可プロセスには二日間の実地訪問が含まれていた。たとえ高等教育委員会が替わって認可プロセスを行うとしても、問題はないとFlareyは言う。
「改正の目標が規制強化で、他に隠れた目的がないのであれば、歓迎する」とオハイオ州に住むFlarey は言う。
Breyer State University もまた人生経験を単位に数えており、学生に自身の博士課程を設計することを許している。が、ディプロマ・ミルではない、とFlarey は主張する。
コースの摘要と教員とその資格はサイトに載せていると彼は言う。人生経験に与える単位は伝統的な大学がさまざまな経験に与えている基準に則っていると彼は言う。
「誰かがディプロマ・ミルと呼んだだけで、ディプロマ・ミルになるわけではない」と彼は言う。
Breyer State University は、他に二つの通信大学を認定しているCentral States Consortium of Colleges and Schools から認定を得ているとウェブ・サイトで主張している。この機関は連邦政府から認定機関として認識されていない。この事実はBreyer State University もウェブ・サイトで認めている。
しかし、Flarey はBreyer State University とCentral States Consortium of Colleges and Schools の両方のトップである。つまり、Flarey は自分の大学が認定を受けたと称する機関の執行役員なのだ。
これに対して、Breyer State University を評価するに際しては外部から三人の評価者を雇ったとFlarey は答えた。
「もちろん、私は評価はしなかったよ」と彼は言う。「それは馬鹿げたことだからね」
品質を保証するためには、認定機関が連邦教育省から認識されている必要はない、とFlarey は言う。この機関は、連邦から認識された認定機関からの認定を受けていない大学に基準を提供するために創設されたのだと。
「認識された認定機関だなどと主張していない」と彼は言う。「そのことについてはウェブ・サイトで明らかにしている。良い基準を作って、世界中の誰もが見られるようにして、この基準に則っていくと言っているだけなんだ」
非認定大学のもう一人の指導者であるJerry Haenisch は、認定は自主的なものだと言う。彼はワイオミング州からアラバマ州へ彼の大学Preston University を移動する過程にある。二次以降教育局のシステムはPreston University に2008年12月までの認可を与えた。
Preston University の理事長であるHaenisch は、ワイオミング州議会が法改正を検討しているときにワイオミング州の役人に非認定大学を追い出さないようにロビー活動を行ったが、実を結ばなかった。
Preston University の3,000人近い学生のほとんどが海外の学生なので、認定大学に与えられる連邦政府の援助金は必要ないのだとHaenisch は言う。
「米国の認定制度は学校が国際的に営業することを制約している」と彼は言う。「認定がなくとも、品質の高い学校として存在し、良い教育を提供することはできる」
アラバマ州は非認定大学の営業を認めているので、モントゴメリー市に大学を移動中だと言う。州の役人が彼を追い出すような大変革を行わないよう希望していると。
「アラバマ州には、外部の私的認定を要求することなく、非常に厳格な学術ガイドラインを持つように求めている」とHaenisch は言う。
ウェブ・サイトによると経験学習に単位を与えているが、Preston University はディプロマ・ミルではないとHaenisch は主張している。
正統な機関
たとえ審査権限が高等教育委員会に移されたとしても、認定がない機関を州外へ追い出すようなことはしないとFitch は言う。
「良い仕事をしている正統な営業がそこにはある」と彼は言う。
審査は徹底したものになり、実地訪問や教員の資格証明などの安全策を含むことになろう、と彼は言う。
「もし郵便局の私書箱が住所なら、全ての要件を満たしたとはおそらく言えなくなるだろう」とFitch は言う。
州内300の認可された私立学校の内、高等教育委員会は70校をこれまでに審査した。多くは学位を授与しないプログラムである。
高等教育委員会の審査を受けていない機関の一つにフーヴァー市のAndrew Jackson University がある。
完全に通信教育校であり、連邦政府によって認識された認定機関であるDistance Education Training Council から認定を受けている。しかし、DETC からの認定校の学生はSouthern Association of Colleges and Schools といった地域の認定機関から認可された単位取得に苦労することがしばしばある。
「始めた当初は、認定がなくともやっていけると思っていたのだが、すぐにそんなのは無理だと分かったよ」と創設者であり学長でもあるRobert Norris は言う。
AJU には通信教育の柔軟性を必要とする約600人の学生がいると彼は言う。
彼の大学ような機関をアラバマ州が追い出すことがないよう希望し、より厳格なガイドラインを歓迎するとNorris は言う。
「規制強化で、落ちるところは落とせば良い」と彼は言う。「厳しければ厳しいほど良い。競争が減るからね」
(出典:健康本の世界)
by netsociety
| 2010-04-01 21:35